「琴音ちゃん、準備できた?」

廊下からかかった声に肩が跳ねた。うわぁ、似合ってないのに…。

鏡に写った自分にため息をついて、渋々襖を開ける。すると、私を見るなり固まる奏多さんと、少し遅れて固まった暁くん。

2人のそんな反応も無理はない。

今の私の服装は真っ白な膝たけのワンピースにGジャンを羽織っているという、着たこともないような服に身を包んでいる。

どうしてそうなったかというと、朝ごはんを食べ終わるなり伸洋さんに袋を押し付けられ、着替えて待機ね~と部屋に放り込まれたせい。

前もこんなことあった気がするとは思ったけど、なんでこんな格好させられたの、私…。どこかに行くわけでもないのに、バカみたいだ。

「…似合ってるね、琴音ちゃん」

「…」

そんなお世辞はいりません。今すぐ着物に着替える許可をください。

じとっと奏多さんを見つめていると、本当に似合ってるからと少し顔を赤くさせてそんなことを言う。

だからお世辞はいいのー!

なんで着替えさせられてるの!?説明しろー!