「若、いいんじゃない?どうもこのままお嬢に隠したまま済むとは思えないんだよね。…知ることで、警戒心もつくだろうし」

「…」

「でも、お嬢。これは女だからとか、知られたくないとかじゃなくて、マジで機密事項もあるから、それは聞かせらんない。だから、ちょっと席外してくれる?」

「…分かった。でも、青海がどうしてたのかとか、どうやってここに来たのか、昼間なんでお兄ちゃんたちが追われたのかは知りたい。今は最悪それだけでもいいから」

「うん。それなら大丈夫。いいよね、若」

「…あぁ」

伸洋さんの提案に梨々香ちゃんも、季龍さんは渋々だけど納得する。

梨々香ちゃんは素直に立ち上がると私に駆け寄ってきて、ぎゅっと抱きついてきた。

頭を撫でると、甘えるように頬擦りしてきて、緊張してたんだなってすぐに分かった。

「琴音、行くぞ」

「琴音ちゃんおやすみ」

暁くんに促され、梨々香ちゃんの手を引く。

部屋を出る前に声をかけてくれた奏多さんに頷き、みなさんに頭を下げてから大広間を出た。