「伸洋」

「へーへ。人使いが荒いったら」

伸洋さんも靴を履いて、ぶつぶつ文句を言いながら先に外へ出ていく。

季龍さんもそれに続いて外に出ていく。

「「「いってらっしゃいませ!!」」」

数人のお見送りの声が季龍さんを送り出す。その声に思わず頭を下げて季龍さんを見送る。

「お前は行くんだよ」

そんな声が頭の上で響いたかと思うと、腕を掴まれて引っ張られる。

ダメだ、つい癖で…。

季龍さんに引っ張られるまま、外に出た。

「琴音!」

「!?」

と、ちょうど外に出たところで暁くんの声がして振り返ると、息を乱れさせた暁くんが慌てた様子で駆け寄ってくる。

「ん」

差し出されたのは保冷バックのようなもの。これは…?

「?」

「弁当だ、弁当!」

「!?」

え、私準備してないのに…。っ!まさか暁が早く食べていなくなったのはこれのため!?