「梨々香、帰ってからにしろ」

「えぇっ!う~ことねぇ!私が帰ってくるまで着替えちゃダメだからね!!」

「…コクン」

写真って、これ撮られるのか…複雑。

とにかく我に返った梨々香ちゃんに解放される。季龍さんは呆れ顔のまま。

「はいはい。学生は早く行かないと遅刻するぞ~」

「っ!!ヤバッ!お兄ちゃん、ことねぇに着替えさせちゃダメだからね!!」

「早く行け」

「いってきまーす!!」

飛び出していった梨々香ちゃん。でも、間に合うのかな…?

そんな心配をしていると、背中を押される。

「ほーら、ここちゃんと若も遅刻遅刻」

遅刻前提!?

玄関にぽいっと落とされると、見慣れないローファーがある。これを履けってことだよね?

履いてみると、サイズピッタリ。もうなにも突っ込まない。