「伸洋、触んな」

「へーへ。んじゃ、帰るよ~」

目を閉じているとそんな会話が聞こえ、恐る恐る目を開けると不機嫌な顔をした季龍さんが窓の外を見てる。

伸洋さんは何事もなかったかのように車を発進させてしまった。

…やっぱり、季龍さんなんだか変だ。

じっと季龍さんの横顔を見ていると、思い出したように視界を塞がれる。

「あ、ここちゃん。シュークリームじゃなくてケーキがいい?いいお店見つけたんだよね~」

「!?」

だからいらないのに!!

首を横に振ろうとすると、季龍さんに抱き寄せられて思わず固まる。

な、なんでー!?

「ここちゃんショートケーキ好きだよね~。いちごいっぱいの買ってくるから楽しみにしててね~」

あ…決定してしまった…。なんだか申し訳ない。

今度伸洋さんの好きなおかず作ろう。勝手に外に出れないからそれくらいのことしかできない。