「あ゛ー!一番大事なの忘れてたっ!!」

突然の大声に思わず飛び上がる。伸洋さんは今度は上着のポケットからガラケーと、腕輪みたいなものとネックレスを出す。

…伸洋さんのポケットは四次元ポケットかもしれない。

「えっと、ケータイね。俺と奏多と暁、お嬢と若と森末たちの連絡先入ってるから。あと、このケータイは俺が監視してるし、着信は制限されてるので、俺が登録しないと連絡できませーん。お友達が出来たら俺に相談。分かった?」

「コク」

「んで、これが一番大事。ここちゃん回れ右!」

指示に合わせて後ろを向く。って、なんか久しぶりに聞いたかも…。

じっとしていると、左の足首と首に何かを付けられた。

「はい、いいよ。…まぁ、あえて言うけど、それはGPSだからね。外に出るからって逃げられると思わないよーに」

GPS?これが…?

足首についているリングも、首についてる十字のネックレスも、全くそんな風には見えない。

…これを外さなきゃ、監視の目がなかったとしても逃げられない。厄介なのをつけられちゃったな。

「ちなみに。それ、俺が持ってる鍵で外さなきゃ取れないから。無駄な抵抗はしないで大人しく学校にいてね」

先手を越された。しかも厄介さが倍増してる…。