普通なら止めたくなる。本心はそうだ。

だけど、それを禁止したら、その人の逃げ道がなくなってしまう。そのリスクがどれだけ高いのか分からず安易にそんな約束出来ない。

私に出来ることは、少しでも切らずに済むように逃げ道をもう1つ増やすことだけ。

逃げ道を失った人の末路を私は、知っているから…。

浮かびかけた光景を頭のすみに追いやり、梨々香ちゃんに笑いかける。

不思議そうな顔をしていた梨々香ちゃんも、何とか笑ってくれた。

「ことねぇ、変わってるね」

『そうかもね』

「って、ごめんっことねぇお勉強…」

梨々香ちゃんに言われて気づく。そう言えばテスト勉強途中というか、課題やってたんだ。

ごめんなさいと繰り返す梨々香ちゃんに大丈夫と伝えて、鉛筆を持つ。

『宿題、一緒にやる?』

「っげ、ことねぇなんでやってないってしってっ!!」

ありゃ、失言?口に手を当て硬直する梨々香ちゃんを笑うと、ばつが悪そうな顔をしながら宿題を取りに行く。

戻ってきた梨々香ちゃんと向かい合って課題を進める。