「んじゃ、帰るよ~。ここちゃん目隠ししてね」

私を膝の上に乗せたままの季龍さんには何も言わず、伸洋さんはいつもの調子で言う。

言われた通りにアイマスクに手を伸ばすと、季龍さんの手で目隠しされた。

「さっさと出せ」

「あー。はいはい」

え、帰るまでこのまま!?これじゃあ逃げ出したときと同じじゃないか!

ジタバタすることもできず、車は動き出す。

どうしたらよいか分からず硬直を続ける。

「琴音、寝てろ」

季龍さんがそう言ってくれても、流石に緊張しすぎて目が冴えてしまっている。

ガチガチに緊張したままで、早くついてと願うばかりだった。