「先生、ここって…。」

個室に通されるまでに不思議に思った事を聞いてみようかと思ったけれどやめた。

予約は4人でしてたはずなのに、ペアしかいないみたいなんですけど…なんて、聞いてもね。



「海ちゃん、何食べたい?」

「先生にまかせても大丈夫ですか?
私こういうところあまり慣れていないんです。」

というか、予約してるんじゃないの?

「ああ、でも一応聞いておかないと。
女の子の好きなもの食べさせてあげたいし。」

彼は店員さんを呼ぶと何かコース料理を頼んでいるみたいだった。



それから運ばれてくるお料理は、未知の世界で、高給取りの人たちはこんなに美味しいものを食べてるんだというのが正直な感想。

「海ちゃん、お腹いっぱいになった?」

「はい、デザートまでいただけて、とても満足です。
世の中にはこんなに美味しいものがあるんですね。」

「フフ。」

「どうかしましたか?」

真面目に言ったはずなのに何故か笑われる。

「いや、面白かったから。」

「それじゃあ答えになってません。」

それでも爽やかに笑ってる彼を見ると、何だか笑われているのが恥ずかしいけれど、凄く幸せな気持ちになれた。