恋する人、溺愛の予感



「そういえば、やっぱりあのレストラン、ペアですよね?
最初から2人になれるように上林夫妻に頼んでたんですか?」

「ん?いや?
あの2人が今までの俺に対する仕打ちへの謝罪も含めて2人きりにしてくれた。
俺は今日も4人で遊びながら悶々とする気満々だったぞ?」

「…そうですか。」

「まあ、予約したのは賢之助だが、店を選んだのは俺だ。」

「それってやっぱり暗に2人にしろって言ってるようなもんじゃないですか!」

「ん?何のことだ?」

この、ズル賢い頭の中を見てみたい。

「いつかバチ当たりますよ。」

「このくらいでバチ当たるんならお安い御用さ。
海を俺の奥さんに出来るんだ。」

「お、奥さんって気が早すぎません?」

「そうなのか?」

「そうじゃないかも?」

「よし、赤だ。
海、ちょっとこっち来て?」

「なんですか?」

あっという間に降ってきたキスにまた驚かずに入られない。

彼はキス魔なのかもしれない。

溺愛される予感に心が震えた。



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