15分の休憩を終え、バスは何事もなかったかのように再び出発した。

 香田さんは緊張が解けたのかはたまた疲れたのか、寝てしまった。


 俺は暇つぶしにイヤホンを耳にはめ、音楽に身を委ねる。


 不意に意識がぷつり、とテレビを消したように途切れ、次に意識が戻ったのは高速を出る時だった。


 ……寝てたのか。


 自身の格好は全く変わらず、周りのざわめきは少し減ったが、記憶が途切れる前と後で明らかに変わったのは車窓から見える風景だけだ。