「トイレ前で一旦停車するから、香田さん連れて外に出ろ」

「私も行くよ」

「ありがと」


 迅速な判断を持って帰ってきた智と、普通の女子なら嫌がるようなことを進んで手伝ってくれるチィに感謝する。


 バスは1台列を離れ、トイレへ向かう。


 もうすぐ止まるのに。

 早く動けない彼女を外に出さなければ。


 焦りで頭が冷静な判断を出来なくなっているのがわかる。

 でも、バスから降りなければ対処しようにも出来ない。


 冷静でないが回転が馬鹿みたいに早くなっている脳が出した決断が、俺の体を動かした。