「もうすぐ休憩だから、寝てる奴いたら起こしてやれ」


 教授の声がマイクを通しスピーカーから車内に充満する。

 周りは喋るものと寝ているものに分かれていて、前者が周囲のものを起こす音や気配がそこここでする。


 俺はあと少しに安堵するが、彼女は油断できない状況だ。

 症状は悪化し、強い吐き気が何度か波となり襲う。

 俺は袋を手放さないように、彼女から目を離さないようにしていた。

 波がくるたびに苦しそうに背を丸め、小さくなる。