「席なんだけど、窓側と通路側どっちがいい?」 「……窓側がいいです」 「うん、そっか。じゃあ、どうぞ」 手で彼女を促すと、彼女は軽く会釈して座った。 礼儀正しい子だな、というのと同時に、他人行儀だなとも思う。 紙一重の印象に、すこし壁を感じた。 彼女が窓側に落ち着いたのを見計らって座る。 真ん中は嫌いだが、別に他人の意志を曲げてまで座りたいとも思わない。 自分以外の誰かの希望ならなるべく叶えてあげたいのが、俺の性格だ。