「チィは高校どこだった?」
急な話題転換にチィは一瞬停止して、でもすぐに起動しだした。
「え? あっ、えっとね、春丘女子こ……」
「春女(ハルジョ)!? めっちゃお嬢じゃん!」
智が目をひん剥きそうな勢いで喋る。
……訂正、叫ぶ。
お願いだから、もう少しボリューム下げてくれ。
鼓膜がきぃん、とする。
「お嬢じゃないよ? 一般人だもん、私」
チィはそう言うものの、春女は世間一般の常識からいくと、幼稚園から大学までエスカレーター式の私立のお嬢様校だ。
学費は高いが学力・偏差値・施設・教師には高い定評があって、入試倍率は恐ろしく高い。
家柄がそれなりによく金のある家のご令嬢ばかり通う、憧れの女の園。
自分の志望校以外については全く調べなかった、そういうのに疎い俺だって知っている。


