【溺愛症候群】




「坂城くんとハユくんって仲いいんだねぇ」


 ほぉー、と息を吐きながら、チィは感心したように俺たちを見ている。


「中学からの腐れ縁だからねー」


 愛嬌ある笑顔で答える智は、やっぱり羨ましい。

 そんなにすぐ打ち解けられない俺からすると、いいなぁ、と本気で思う。


「7年目、か? 長いな」

「他人事みたいに言うな。ハユも当事者なんだぞ?」


 智の軽い裏拳突っ込みが鎖骨に入り、地味に痛い。


「……痛い」

「だろうなー。俺も骨に当たって痛かった」


 智にけらけらと笑われると、なぜか怒れなくなる。


 弱いなぁ、俺。