「───────」


 その一言で、智はぜんまい仕掛けの人形のように、文字通り飛び起きた。


 顔が赤くて青くて、漫画みたいに足して紫、というわけにはいかないのが人間の顔色というやつだ。

 赤くなる部分と青くなる部分って、微妙に違うんだということを知ったのは、居眠りする智を″魔法の呪文″で起こすようになってからだ。


「おはよう。ばっちり目が覚めただろ?」


 にっこりと、出来るかぎりの愛想のよさそうな笑顔で、たっぷり刺を含んだ挨拶をしてやる。