「篠沢じゃなくて、チィでいいよ? 篠沢って呼ばれるの馴れてないから」


 ……いくらなんでもそれは、馴々しい気がする。


 俺は常日頃、女子は名字で呼んでいた。

 それから比べてみると、かなり馴々しくて親しげな呼び方に感じる。


 そう思ってしまうのは、俺が潔癖症的性格だからだろうか?


「じゃあ……チィ、ありがとう」

「どういたしまして」


 篠沢───チィは、少し照れたように笑った。