「ごめんね、気付かなくって。どうしたの?」
「あのね、ケータイなくしちゃって……ハユくんたちの部屋にないかな?」
「ケータイって何色?」
「白で、りんごのストラップなの」
「わかった、探してくるから待ってて」
ぽん、と頭を軽く撫でて、部屋の奥に舞い戻る。
宴会の前の暇つぶしの時にチィが座っていた窓辺の辺りを覗き込む。
机の上にはない。
チィが座っていた方の一人用ソファに目をやると、隙間の方から赤いりんごが顔を出していた。
クッション部分をずらして見れば、ケータイはうまい具合隙間に滑り込んでいたようだった。


