【溺愛症候群】




「あっあのっ、ごめんね、悪気はないのっ」


 横に顔を背けたまま、少し朱い顔の前で両手をぶんぶん振っている。


「あのね……服をね、着てもらえると嬉しいんだけど……」


 朱くなった顔を隠すように両頬に手をあて、そのまま手の中に目を隠してしまった。

 確かに、女の子の前に出るような格好じゃないかも。

 女子校出身だって言ってたし、あんまり免疫ないのかな。


「あっ……ごめん。ちょっと待ってて」


 身を翻しベッドの上のTシャツを引っ掴んで上半身を隠してから再び扉を開けると、チィは安堵したように眉を下げた。