「ハユにしては珍しいことしてたな」


 智はマシュマロを1つ、摘んで口に放り込んだ。


「うん?」


 ぱちん、とハサミで持ってるものを小さく切った。


「『コウちゃん抱っこ事件』」


 智に言われ、作業する手を止める。


「あー、あれ。無性にからかいたくなったから」


 妹みたいだったから、という言葉は流石に失礼だろうと思い、ハサミでぷつんと断ち切った。


「『からかいたくなったから』、でからかわれるこっちの身にもなってください」


 憤然として言う彼女はいたって真面目な表情で、またからかいたくなる。