用件も終わったし中に入り、智を探す。

 中は座敷になっていて、大宴会場という雰囲気が充満している。

 手を挙げる智の隣、チィの間に空いている席を目指す。


「ありがとなー。どうだった?」

「なんか……叫ばれた」

「は? 脅かしたの?」

「うんにゃ、普通に声かけただけ」


 2人で首を傾げる。

 叫ばれるような物騒なことした覚えは、これっぽっちもない。


 わからない、というのはなんとも不思議で。

 自分の知らないところで何かしら言われているとしたら、ちょっと嫌だ。


 これだから、陰口と噂は好かない。