彼女達はそう時間をおかずにやってきたから、もたれていた壁から背を離し、彼女達に近づく。


「あのっ」


 声をかけると彼女達は止まり、


「おっ……!」


 と、何かを叫び掛けて、急いで自身の口を塞ぐ。

 すごく焦っているが、理由は全くわからない。


「?」

「あっ、何でもないのっ。どうしたの?」


 わたわたと慌てながらも理由を説明してくれないのだが、気にしないことにした。

 本人達は何でもないと主張してるし。


「あ、うん。出し物の打ち合せするから、食後に506室に集合って、班長から伝言」

「坂城くんから? わかった、じゃあ後でね」

「うん」


 彼女達は落ち着きなく言い残し、足早に去っていった。

 きゃあきゃあと言い合う声が、かすかに聞こえた。