『くっしゅん。』

千弦は、寒いと言って、肩をさすった。

『当たり前だよ。遠くから流されていたんだから。風邪をひいてしまう。さ、早く帰りなさい。』

『え?』

『もうじき岸に着くだろうから。』

びしょびしょに濡れてしまった着物をしぼって、もう一度着てから降りた。

『なら、気をつけて帰るんだよぉーー!』

『有難うございます!』