紫乃さんは、涙ぐんだ顔をして、その場から逃げ出しました。

でも、その気持ち、私にも分かる気がしますわ。

だって、私も『もののけ姫』と呼ばれ、かなり苦しんでいましたもの。

「紫乃ちゃん、お母さんたち、亡くなっちゃったんだよね。」

「紫乃ちゃん、可哀想~。」

あぁ!
駄目よ!
そんな、神経を逆撫でするような言葉をかけては。