宿に帰ると、千弦は何かに怯えたように顔を隠し、小さくなっていた。

『千弦姫、何に怯えているのです?』

『あ。』

『さっきのですか。』

一瞬、千弦は黙り込んだ。
そして、少し考えると、言った。

『ええ。』と。

『やはり。千弦姫様、さっき、驚いたような顔をしていらしたから、そうだと、思いました。』

上手く誤魔化せたようなので、千弦はホッとした。