少年は、口ごもった。
『あなたの方が綺麗ですよ。』
そう、言いたかった。

だって、それは真実。
少年には、出会ったばかりだが、桜よりも綺麗な千弦に惹かれた。

(千弦姫は、自己嫌悪だ。)

(こんなに綺麗でいらっしゃるのに。)

千弦は、『ごめん』と言って、涙を流した。

少年は、その涙を拭ってやった。