千弦は、外に出るのはとても怖かったけれど、勇気を振り絞って外出した。

『あら。もう、葉桜が。』

『暖かくなりましたからねぇ。』

『家の桜はどうなっているかしら。』

『へぇ。桜を植えていたのですか。』

『えぇ。あたし、桜が大好きでね。あたしには無い陽だまりがそこにはあって、とっても綺麗だったわ。心休まる憩いの場であったからね。』

『へぇ。』

『いいなぁ。桜は綺麗で。あたしもあんなに綺麗だったら、もう少し気に入られたのかもしれないわね。』