春の陽気に
猫と戯れる1人の女の姿

猫は彼女の腕から
抜け出し縁側に腰を下ろした

『おやおや…お前の特等席は私の
膝の上であったろうに、そこが気持ちいのだな』

庭には桜が咲き誇っている
風が少し吹き桜が散った

風に乗せ桜の花びらが
彼女の元までやってきた

『綺麗じゃのう』

彼女の古風な喋り方は家柄に
関係があるようだ

彼女は19歳にして
神崎組の最高顧問なのである
元々彼女も組を持っているが
神崎組と盃を交わし今に至るのだ

「(姉)あねさん」

『何じゃ?要件ならそこで言え』

「若が姉さんに用があるとお見えになっています」

『若がわざわざ何の用で?』

サッ
障子の開く音とともに

「心配しに来てみれば何だその口は…」

若の声…


どんな悪事を犯そうと
包み込んでくれる。


邪念さえも
取っ払ってしまう


その内
全てをも浄化させて


真っさらな白紙に
戻してしまうのではないかと…
そう思ってしまう


若の声は魂が宿ってる

誰もが一度は思っただろう





『わざわざ日本の四天王であろう神崎組の若頭がこの離れに足を運んでくださるとは、明日は嵐でも訪れるのかもしれぬな……フフ』



「….….….….お前なあ…
…真剣な話をしてるんだ!
どうなんだ?昨日倒れたそうだな」



『心配はいらぬ…
……それより、今日も見回りだろう
少しは身体を休めたらどうだ?』


「それこそ余計なお世話だ
また、倒れるような事があれば病院に連れて行くからな。悪いが拒否権はないと思え。お前の自業自得だからな
源蔵の爺さんも
検診に来んと心配してるんだ」



『やれやれ……源蔵ももう歳だからな
あまり心配させたくはないのう…
あ奴には感謝しきれんほどに世話になったからの…今度、
顔でも出そうかの』



「ああ、頼むぞ」


彼女は
自分の身体はこの世界では
厄介だと


こればかりは恨むと
憎悪んは増すのであった…






その女


19歳にして
御子柴組20代目組長


御子柴 美桜


女組長でありながら
この世界を馳せるのであった