「っ、佐伯か。どうしてここにいるんだ。」
落ち着け、佐伯はまだ知らないはずだ。
焦りを抑え、平常心のふりをして声をかけた。
「聞いてんのはおれだっつーの。
んで?いつまでだんまりなんだよ。」
いつものようにへらへらと、
しかしまったく笑っていない目で問いかける。
「お前が言えばいいだろ。俺にかまうな。」
「言ったけどよー、
あまり聞いてもらえねぇんだよなー?
なんでだろ?ははっ!」
何を考えているのか、本当に読めない。
「信用されてないんじゃないのか。」
早く逃げたくて、適当に合わせた会話。
「ふ~ん。じゃ、信用されてる愛次郎くんは
一体何をしているのかなー?
まさか、奴らに寝返ったりして?」
!!こいつ・・・まさか!
「そんなわけっ!」
「まっ、べーつに?
俺は楽しければそれでいいさ。じゃーな。」
俺の心を揺さぶるかのように、言葉をかけ
刀に手を置きながら俺に背を向け、去る。


