己の誠


佐々木は、入隊してからずっと

俺が面倒を見てきたんだ。

強くなるために、まじめに稽古して、

いろんな相談も、あぐりちゃんのことだって。

んで・・・なんで、あいつが。

そんなわけはない。あいつが間者なわけ・・・




「原田・・・。

で、どうだ。二人に動きは。」

「佐々木は何も・・・。佐伯は、

血に溺れてるっつーか、狂ってるつーか・・・

なぁ、土方さん。本当にあいつら長州の間者

なのか?佐々木なんか、そんな感じじゃ、」

「原田、甘えるな。てめぇは副長助勤だ。

観察方が、仲間が言ってるんだ。

信用ならねえか?」

土方は、原田の気持ちを分かっていた。

しかし、これからの壬生浪士組を考え、

鬼の仮面をかぶり、原田にやらせてている。

「まどろっこしぃな~。

あやしいんだったら、

斬っちゃえばいいのに。」

「総司、てめぇ!!」

沖田の言葉に、原田は苛立ちを隠せない。

「総司、言葉を慎め・・・。」

「はいはい。まったく、

お堅いな~。土方さんは。」

土方が声をかけても、反省の色もない沖田。

ふらふらとその場を立ち去ろうとする。

「総司、どこへ行く。」

「壬生寺ですよ。

子供たちと遊ぶ約束してるんで。」

「おいてめぇ!今日、稽古・・・、

ったく・・・。」

呼び止めるのも聞かずに、

沖田は行ってしまった。

「原田、引き続き頼むぞ。」

「・・・はい。」

土方がいなくなって、

原田は、ぽつりとつぶやいた。

「愛次郎・・・。お前は・・・。」