雑談のノリで、昭は言った。
「優が浮気なんかするかよ。モテるクセに女関係に慎重なんだよなぁ、アイツ。そこだけはずっと理解できなかった」
「そんなの知らないよ!こっちの気も知らないで!もう変なこと言ってこないでね」
「ぷっ……」
怒る私を見て、昭は笑った。その笑い方には愛しさが浮かんで見えた。付き合ってた頃のことを嫌でも思い出してしまう。
「ひなたはやっぱり可愛いよな、そういうとこ。いじめたくなる」
「調子いいこと言わないで」
「ウソ言うかよ。優のウワサでっちあげたのだって、ひなたを奪(と)られて悔しかったからだし」
「よく言うよ。振ったのはそっちなのに」
「元カノがよく知るヤツと付き合うなんて、面白くないに決まってるだろ。気分良く祝える方がどうかしてる」
お前が言うなっ!
昭がそういう気持ちになるのを狙って優と付き合ったけど、いざそういうことを言われると殴りたくなる。でも、今は優のこと復讐の道具だなんて思ってない。昭のことばかり責められないや。
昭本人を前にしたら、簡単に冷静さを失ってしまう。これ以上相手にしていると水かけ論になりそうなので、私は席を立った。心晴も一緒に立ち上がる。
「他に好きな人作った昭に、優のこと悔しがる権利ないよ」
言った!言ってやったぞー!
座ったまま無言でうつむく昭を見下ろし、これまでにない爽快感を覚えた。


