レンタル彼氏–恋策–


 ドキッとした私は、あわてて今日着てきた服の感想を凜翔に求めた。

「あっ、えっと、これ!凜翔に選んでもらった服だよっ。覚えてる?」

「もちろんだよ」

 凜翔はそっと私の手を取り、指先を撫でるように手をつないだ。ピアノの鍵盤に触れているような優しい触れ方に、体が熱くなる。

「他の人といても俺のこと思い出してもらえるように、ひなたの服選びしたから。付き合ってなくても一緒にいられる口実になるし、買い物っていいよね」

「凜翔、そんなこと考えてたの!?計算高いよっ」

「そうだよ。いけない?」

 距離をつめられ、凜翔の肩が私のそれに触れた。上着越しなのに凜翔の体温が伝わってくる。ううん、これは私の熱かもしれない。

 凜翔は意地悪な笑みを見せた。

「ひなたがカイトさんを指名したって知った時、どれだけ嫉妬したか分かる?」

「ち、違うの、あれは適当に選んだだけでっ」

「冗談だよ」

 そう言いつつ、目が笑ってない。凜翔、本気でヤキモチ妬いてる!?

「今までの彼氏なんて忘れるくらい愛してるから、これから覚悟しててね」

「かっ、覚悟!?覚悟ってっ!」

「ふふっ。ひなた可愛い。でも、俺以外の人にそういう顔見せたらダメだよ?」

 レンタル彼氏をやめリアル彼氏になった凜翔は、早くも私を翻弄させる。

「お、お手柔らかお願いしましぇっ…!(噛んだっ…! )」

 甘くて熱い、未来の予感がした。