言い終わる頃、紗希ちゃんは軽く息切れしていて、充血した目からはとめどなく涙が溢れていた。昭に別れを告げられてから泣き続け、今日もずっと私を探して大学中を歩いていたんだろう。
彼女に呼び止められた時から、昭のことで文句を言われるのは覚悟してた。でも、今は凜翔のことが心配だった。一刻も早く彼の元へ行きたい……!
だけど、興奮状態の紗希ちゃんはすんなり私を逃がしはしないだろう。歯がゆい思いで、彼女と話すことにした。
「昭のことは言い訳する気ないよ。ヨリ戻したいって言われた。でも、一度は紗希ちゃんを選んだ昭を受け入れるつもりはないし、凜翔のこともこのまま放っておく気はない」
カバンの中にたまたま入れておいたメインバンクの通帳を開き、残高を紗希ちゃんに見せた。大学1年の頃からバイトでコツコツ貯めてきたお金。
「コレで全て解決するとは思ってないけど、
凜翔に何かあった時は、レンタル彼氏の違約金、これで払ってもいいと思ってる」
「信じらんない!普通そこまでする!?」
「普通はしないかもね……」
自分でもビックリだ。
「凜翔にはそれだけの価値があるから、お金なんて惜しくない」
「……バカじゃないの」
「バカだよ」
バカになるくらい、恋をした。
「昭のことも大好きだった。でも今は、凜翔だけが好き。何があっても一緒にいたいんだよ」
この恋は永遠だなんて保証はどこにもないけど。それが、今の想い。


