「ひなた、今来たの?心晴ちゃんも久しぶりだね」
「うん、今一緒に来たの。優は?早いね」
「今朝大学開く前に来て準備してた。今はさっそく店番任されてる。準備期間中けっこう休んじゃったから先輩命令で」
久しぶりに顔を見る優は、優しい面持ちはそのままに、前よりイキイキして見えた。
「ああ、豚汁出してるんだっけ、売れてる?」
「予想以上の売れ行きだよ。昼前なのにこんなに人来るなんて思わなかったから、もうすぐ材料追加で買い出し行かされそう!」
「ははは、大変だね」
「ここ寒いでしょ?ウチの店来て。今ならサービス出来るよ。先輩どっか行っちゃったし」
「え、でも……」
忙しそうなので遠慮したものの、直後にクシャミをした私を見て、優はバスケ同好会が設置した飲食席で二人分の豚汁をごちそうしてくれた。ブースの中にテーブル席が作られている簡易な飲食席だが、風よけもされて外よりだいぶ暖かい。
「あたし、トイレ行ってくるよ」
豚汁を平らげてすぐ、心晴は席を離れた。もしかして気を遣わせただろうか?テーブル席で優と向かい合う形となり、心晴が抜けたことで二人きりになってしまった。
「ごちそうさま。美味しかった。優が作ったの?」
「うん。今日の分は。カット済みの材料を味噌とダシ汁で煮ただけだけど」
「そうなの?でも、すごいよ。お袋の味って感じがする!」


