凜翔は凜翔。元カレの昭や優とは違う。分かってても、強引に触れてくるそぶりのない凜翔を寂しく思った。
「かといって、いきなりがっつかれてもそれはそれでショックだけど。凜翔ってそういうイメージないし……」
「そうだね。恋愛初期は特にだけど、そこらへんの微妙な匙(さじ)加減、大事だよね」
心晴はとことんうなずいてくれる。呆れることなく面倒な相談に付き合ってくれたおかげで、話す前よりいくらか気持ちが楽になった。
「心晴って、付き合ってどれくらいでキスとかしたの?」
「イサキとは付き合ってその日にしたかなぁー……。あ…!でも、あたし達の場合は別だよ。凜翔君とひなたのペースがあるし、うん!」
心晴はしまったと言わんばかりにフォローしてきたけど、私は再びモヤモヤした気分になってしまった。
「やっぱり、自信なくなってきたー……」
「ひなた、しっかりして!?」
うなだれる私を気遣いつつ、心晴は運転を続けた。
「ひなたと凜翔君は、出会い方も普通とは違うし、まだ始まったばかりじゃん?幸せになるに決まってる。じゃなきゃ、最初から凜翔君に会わせたりしなかったよ」
「……そうだよね。ありがとう、心晴」


