考えを整理していると、凜翔は柔らかく目を細めた。

「三枝さん、ひなたのことが本当に大切なんだね」

「……でも、心晴とはもうすぐ離れ離れになるんだ」

 引っ越しのことを思い出して気持ちが沈む。

 心晴がいてくれる。そのありがたみが、今回のことでより分かった。

 刻一刻と別れの時は迫っている。寂しかった。凜翔と気持ちがつながって他のことで悩めるほど気持ちに余裕ができたのか、それとも恋愛と友情で生まれる感情は別物なのかは、分からないけど……。

「大学祭、いい日にしよ。三枝さんにとっても、ひなたにとっても」

「うん!」

 心晴が予約してくれた学園祭での三人デート。心晴への恩返しの意味も込めて、最高の日にすると決めた。



 大学祭当日。

 朝から心晴と待ち合わせ、彼女の運転する車で大学に向かった。凜翔とのデート予約は午後からなので、それまでは二人で学内を回ろうとあらかじめ約束していた。

 大学に向かう車の中で、私達は先日のことを話していた。

「そっか。あの後、凜翔君から全部聞いたんだね。隠しててごめんね」

「ううん!心晴がしてくれたこと、嬉しかったよ」

「……凜翔君や優君から聞いてるかもしれないけど、昭君のこと色々知ったら見損なって……。だからってコソコソレンタルデート取り付けるのは間違ってたよ。ひなた、優君と付き合ってたのに」

「そのことはホントもう気にしなくていいよ。それより、昭のこと見損なったって?もしかして、色んな子と遊んでたって話?」