図星を突いたのか、彼女達は一様に真っ赤な顔になり怒りをあらわにした。さっきまで焦っていたのがバカバカしいと思ってしまうほど、私はひどく冷静だった。
「こんなんで好きな人が振り向いてくれるなら、恋で苦労しないよね。つらいのは自分ばっかりなんて思わないでくれる?」
淡々と言ったせいか、それがよけい彼女達の怒りを加熱させた。でも、これは半分自分へ向けた言葉だった。
つらいのは自分だけじゃない。皆タイミングが違うだけで、優も心晴も、恋で苦しんだ。
凜翔に振り向いてもらいたくて、だけど叶わなくて、届きそうにない。人を好きになるのは幸せばかりじゃなくつらいことの方が多いのに、それを発散できる場所なんてないからこんなことが起きる。
愛が、全ての引き金ーー。現状も、想いも。
ぼんやり内省していると、一人の子がハサミを持ち出し、私の髪を切ろうとした。後々ヘアスタイルに困るからそれだけはやめてほしいな。って言ってもやめてなんかくれないか……。
他人事のように思いつつ無抵抗でいると、誰かの両手が私の脇に滑り込み体ごと起き上がらせた。
ふわりと漂う甘い匂いに、内に向いていた意識は現実に引き戻された。
「ひなた、大丈夫!?」
パッタリ途絶えたはずの偶然が、目の前にあった。
「凜翔……。どうして……」


