睨みつけてくる彼女達から距離を取るように後ずさり、私は必死に宥(なだ)めようとした。
「私はただ分かってもらいたくて……。嫌な気分にさせたことは本当に申し訳ないと思うけど、ちゃんと話そう?」
「そんなの聞くわけないじゃん。だいたい、アンタが遊び人かどうかなんてこっちはどうだっていいの」
「え……!?」
「相馬君は皆が目をつけてた人なの。それを横からサラッと奪っておいて、ちょっと付き合って別れて、その上平気な顔で大学来て、その神経が信じられない」
言うなり、彼女は私の髪を乱暴につかみ、その手を容赦なく真上に引っぱり上げた。激痛で頭皮が焼けるように熱い。
「痛いっ…!やめ……!」
「やめるかっての。ここにいるのは皆アンタを嫌ってんだから。ノコノコついてきた奴が悪いんだからね」
「っ……!」
痛すぎて悲鳴すら出ない。言葉が通じない相手ほどこわいものはないと知った。
おとなしく痛みに耐え無口になる私に飽きたのか、彼女達は私の体を突き飛ばした。未使用の教材が入った段ボールの山に背中からぶつかり、全身に激しい痛みが走る。
何とかして逃げないと……!そんな大人数じゃないし、相手は同じ女。今ならまだ何とかなる!


