レンタル彼氏–恋策–



 優は最後まで私を責めなかったけど、世界は違う。まるでそう言うかのように、翌日が訪れたーー。

「ちょっといい?」

 朝、大学に行って早々、知らない女の子数人に呼び止められた。彼女達の目を見て、ウワサの件で私に文句を言いに来たんだと分かる。

 普通だったら相手にしないかもしれない。だけど、私は彼女達に従い、人気のない教材室まで一緒に行くことにした。ウワサが原因で誤解されているのなら本当のことを分かってもらうチャンスだと思ったから。

 それに、相手は同じ大学生。何とかなると思った。うまくいけば変なウワサも消せるかもしれない。

「話って何かな?」

「矢野さんって、相馬君だけじゃなくて他の男のことも弄んでたって、本当?」

「全然違う!ウワサになってるらしいけど、誤解だから!私ちっともモテないし!」

 よし!言いたいことは言えた!

 ホッと胸をなでおろす私を見て、リーダー格っぽい背の高い子が言った。

「アンタの言い分なんて信じないから」

「そんな…!」

「おとなしく制裁を受けな」

 冷めた彼女の顔を見て、私は判断を間違えたんだと思った。こんな所へ一人で来るなんて無謀過ぎた…!

 それもそうだ。真偽を問わずウワサを本気にする人の方が圧倒的に多い。特にこういう恋愛絡みの話は一人歩きしてしまう。だから妙に説得力があるものになり、疑う人などいなくなる。