「だったら、彼氏レンタルしてみなよ!そしたら、今のその気持ちがウソか本当か見極められると思う!」

「そんな、ブルーレイやコミックのノリで借りられるものじゃないよね!?」

「それがね、借りられるんだよ、ホラっ!」

 心晴(こはる)がこちらに向けたタブレットの画面には、レンタル彼氏なるものを取り仕切る店の情報と、その宣伝広告がアップされていた。

「見てみて!色んなタイプのイケメンがいるでしょ?」

 心晴に促されるまま、私はしぶしぶタブレットを受け取り画面を流し見た。大学内のカフェでの出来事。

 最低1時間からのデートが可能で、在籍している彼氏役タレント(とはいえ一般人)から好きなタイプを選べるシステムだとか。

 心晴が言う通り、どの人もかっこよくて優しそう。芸能人ではないにしても、モデルとか芸能活動をしていてもおかしくない容姿の人ばかり。タレントの年齢も、二十代から五十代までとバラバラだ。でも……。

「3時間のデートで一万五千円も払うの!?高っ!ぼったくり過ぎ!」

 私がこれ行く場合、何日バイトすればいいの?ファミレスのバイト代、一日分で約四千円。4日分丸々持ってかれるっ!!詐欺だ!

「冗談じゃないっ!こんなのにお金かけてらんないよ!でも、話聞いてくれてありがとう。バイトあるし、そろそろ行くね」

 押し付けるようにして心晴にタブレットを返し、席を立つ。心晴はすがるように私の前に立ちふさがった。

「ちょ、待って!最後まで聞いてっ!?」

「面白いアドバイスだけど、ごめん。私にはこんな大金払えないよ」

「違うの!私がプレゼントするから。ひなたの誕生日プレゼントだよ!」

 心晴からこんな話を持ちかけられた理由。それは、数時間前にさかのぼるーー。