『痛いじゃなくて、質問の答えを言え』

先生の腕を掴む力が強くなる。
痛い。

「せ…んせ……これ…なんて言うか知って……ます?」

満面の笑みで言う
もう、掴まれている腕が痛すぎて考えるのもキツくなっていた。

『はぁ?』

先生は理解できないような間抜けな声を出す。

「た…い……ばつ…。」

笑顔でそう言ってみせた。
先生は一瞬我に返ったようだ。
やったかと思った瞬間。

ドンッ!!

腕の痛みだけじゃなく、背中にも痛みが伝わった。
もう一度壁に押し付けられた。
痛みに気を取られているといつのまにか先生の顔が近い。息が触れる、目と鼻の先にあった。
にやりと笑った先生。

『もう一度言ってみろ?俺は生徒が悩んでいるようだから話を聞いてやろうとしているんだ』

上から目線の言葉。
悩みを聞いてなんて頼んでもいない。
イライラが募る。

「悩みなんてありませんっ!帰らせてください!」

先生に言い放った。
瞬間、先生がキレた。

『悩みがないってどの面下げて言ってんだよ!悩みないなら心配させるような顔をするなっ!』

一瞬たじろいだ。
けど、先生の怒鳴り声には私が1番欲しかった言葉があった。
下を向く。止まらない。
涙が溢れる。
嘘だとしても、聞きたかった言葉。





ーーーーー心配。