「今からクラスの好きな子発表していこーぜ!!」





放課後の教室、一部の男子達がそんな話で盛り上がっていた。





「和成、お前も参加な!今日の数学聞いてなかった罰な!」





そう和成に駆け寄ってきたのはクラス一と言っていいだろう元気な少年の代表なような加藤昌義(かとうまさよし)だった。





転校してきた俺に最初に話しかけてきてクラスに馴染ませてくれたクラスのムードメーカー的存在。





「いねぇもん、好きな奴なんか」





「うーん、じゃあ気になる子とか可愛いと思う子でも良いぞ!」





何としても答えさせたいのかと和成は乾いた笑みを浮かべた。






男子数名が窓から近い俺の席に集まる。何人か同じようにクラスにまだいる女子に見えないよう紙を隠してはいるが、果たして意味はあるのか。聞かれた意味ない気がするが。






「じゃあ、最初俺な!俺は…………佐藤佳音(さとうかのん)ちゃん!!!」





昌義はデレデレした表情で紙に"佐藤佳音"という名を記す。





「あっ、俺も!」「可愛いよなあの子!」それと同時に数名の男子も名乗り出る。





(まあ、クラスのマドンナって言ったら佐藤さんかな…………)






きっと誰もが認める美少女。




だが、彼女のファンがこんなにも居たのは驚いた。






というのも佐藤佳音という少女はクラスで誰とも連んでる所を見た事がない。別に嫌われているとかそういう事ではないが、自ら人を遠ざけているように思う。