声が震える。

「あーあ。断っちゃった。翡翠、あたし、こいつにしたいー!いい?」

翡翠、と呼ばれた女の子は、古町翡翠(こまちひすい)。

顔は整っているのに、性格が冷徹で友達のいないタイプだ。

でも、僕は知っていた。時折見せる、優しい笑顔を。

まさか、こんな子だったなんて...。

それに、こいつがいいって何?

「いいよ。私、古町翡翠。今日からよろしくね?」

え?どういう事?

「あたしはぁ、松永沙羅(まつながさら)」

「わたくしは、花谷美沙(はなやまみさ)」