窓の外はまだ雨が降っていた 今日はもうとっくに下校時間になっているのに雨だけは朝から止むことはなく降り続けている 鬱陶しいだけの雨なのに嫌いになれない 雨はすべてもの始まりを告げていて何もかも受け止めてくれる 傘をまさのりの車に忘れてしまったのを今思い出した 「あ、傘。忘れた」 「…え?」 「まさのりの車の中に傘を忘れたの」 「なんだ、そんなこと。石井を待つか、兄貴を待つ?それとも僕と帰る?」