「……誰かいるのか?」

用務員だろうか、いや違う

この声は兄のスバルだ

わたしはいっそう気配を消そうとするが、一方で心臓が飛び出るほど高鳴る

コツ、コツ、コツ

ドキドキドキ………

ゆっくり自分のそばに忍び寄ってくる足音

「おい、そこにいるのは誰だ?」

誰かがいることは分かってしまったらしい

かと言って堪忍して、はいわたしです。と名乗り出るわけには行かなかった

コツ、コツ……

また近寄る

もうダメだ、バレてしまった

教壇の奥を覗き見る兄の顔と目が合った

「見ぃつけた」