兄の足音を耳で確かめると『まだ大丈夫』、そんなふうに胸を撫で下ろしながらも内心ドキドキしていた

「お昼はまだ作らないのか?」

なんの予告もなしに部屋の襖が開けられた

「ひっ………」

わたしはよりにもよって突拍子もない声が出た

携帯を隠す隙もなく兄は現れたからだ

「なに驚いてんだ?また携帯つついてたのか、誰にLINE?」

「むっちゃんだよ、むつみちゃん」

「ふーん、むっちゃんねぇ。見せてみろよ」

「な、なんで見せなきゃいけないの?さぁ早くお昼つくろ?」