10月も半ばとなり、学校生活もあと半年。

それぞれの進路がきまりだす頃になった。



「山田、最近成績あがってきたじゃないか。」


担任の風見先生は
うれしそうな表情をして
言ってくれた。

風見先生は、先生になって
まだ3年目ってきいている。

20台中頃で、
何かスポーツをしているのか、

少し日に焼けた肌が
活動的な印象を与える。


学校でも人気の先生で、
毎年バレンタインデーになると大変なようだ。


「山田は受験することにしたんだよな?
この調子でがんばれよ。」


「あっはい、ありがとうございます。」

目が泳いでいるのは分かっている。
2人きりなので緊張してしう。

昔から意識過剰なところがこんなところでも
出てしまった。


「で、どうするんだ。
どこの大学が第一志望?」


「あのう、王状・・いければと思っているんですけど。。。」


「王状か。。レベルが高いぞ。覚悟はある?」
少し厳しくなった風見先生の目に「ゾクッ」となった。


「はい。もちろんです。
絶対受かってみせます!」

「よし、頑張れよ。」

厳しい目つきが消え、
やさしく微笑む顔がまぶしい。

「おれも受験がんばったんだよ。
先生から難しいっていわれてな。

その時はテニスに夢中で、
勉強はあまりしていなかった。

けど、自分で決めたことには
絶対負けたくなかったんだ。」

「先生ってテニスやってたんですか?」

「そう。8月の大会が終わるまでやってたよ。
これでも、結構いいところまで、いったんだよ」

「へーそうなんですか。」

「とにかく、受験は気持ちだ。
絶対受かると思って
勉強つづけるんだぞ。他に何かあるか?」

「・・・」


「じゃ、おつかれさん」


「ありがとうございました」
といって席をたった。