入学して最初の行事は7月の学校祭だった。
それまでには親友とまではいかないが、それなりに誰とでも話せて仲良くできるようになっていた。

「なんで私にだけ注意すんの?男子にはしないくせに」

学祭の準備中、話を聞いてる途中にスマホをいじってた子に注意したら私が浴びせられた言葉。

次の日のSHRでその子は号泣していた。

「美奈が私にだけ注意するの!!!他の子には言わないくせに!差別するの!」

と、みんなに言いふらしていた。
それを聞いた時、心臓の動きが早くなって息がしにくくなって、涙が止まらなくなって、トイレに逃げ込んだ。
少しして、治まった。でも、泣いた顔で授業受けたくなくて、保健室に行った。

コンコン
はーい

「めまいがするので休ませてください」

「大丈夫ー?貧血かなぁ?」

ベッドに横になると、また誰かが来た。
この泣き声…あいつだ…

予想通りあいつだった。先生に連れられ保健室に来た。
連れてきた先生は私の方を見て

「雪原さんいるから他に移動しよっか」

と言って連れていった。その時、私を睨んで出て行ったあいつ。

「あの子保健室がいいですよね?私、大丈夫なので教室戻ります」

「いいの!病人は寝てなさい!」

怖かった。あいつに次は何を言われるのか。

学祭の準備は進み、周りの子がサポートしてくれながらあいつと関わらないように進めることが出来た。

ある暑い日の合唱練習。
体育館で歌っていると、どんどん目の前が暗くなっていった。

バタンッ…

大きな音が体育館に響いた。

目を開けた時には隣に担任と佐川先生がいた。

「大丈夫?手、握れる?びっくりしたよ~歩けるようになったら保健室行こっか」

やっぱり優しかった。この優しさにずっと触れてたいと思った。