入学式、私は一目惚れをした。

同級生でも先輩でもない、先生に。

入学式の教員紹介

「1学年付養護教諭、佐川由佳先生です。」

「よろしくお願いします」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私は山に囲まれ、中学の同級生ばかりの田舎の高校に入学した。

正直、高校なんて行ければどこでも良かったし、さっさと高校出て地元出ることだけを考えていた。

「ねえ!美奈はなんの部活入るの??」

中学から友達の梨沙だ。

「うちは入らないかな~バイトしたいし」

「中学の時から言ってたもんね!」

中学なんて、一番つまらなくて最悪なところだった。

いじめられて教師に助けを求めても「証拠がない」という理由で何もしてくれないクソみたいな環境だった。

いじめてきたやつらはもちろん高校も同じだ。避けたかったことが起きてしまった。だから、学校にいる時間をなるべく減らすために、アイツらの視界に入らないように生活することが必要だった。

入学して1ヶ月、陰口は止まらなかった。
「学校休むならさっさと辞めればいいのにw」「あいつ通る度に地震起こるんだけど」「うわ、教室に熊がいるよー!!!」

耐えられなかった。ダメ元、何かしてくれる保証も無かったけど、担任に相談した。
これまで証拠が無いと言われ続けてきたからやられたこと、日にち全てノートにメモして置いたものも一緒に。

担任は前向きだった。

「泣くほど辛かったんだろ?よく耐えたな」

その後、少しして陰口言ってた奴らは生徒指導が入った。

初めて大人を頼って良かったと思えた。